認知行動療法は心理療法の完成形

認知の歪みを正せば、心も体も行動も前向きになれる

  • 人の視線が怖い
  • 何度も何度も手を洗わないと気がすまない
  • 戸締まりや火の消し忘れが気になって外出できない
  • いつも不安感にさいなまれていて積極的に行動できない
  • 十分痩せているのにもっと痩せなければと思ってしまう
  • 必要とされていないと感じて、普通の人づきあいが出来ない

 自分でも薄々おかしいと感じているのに、どうしてもそのような行動をしてしまう、あるいは、ある事柄に対して人と同じような受けとめ方ができない、それを認知療法では認知の歪みと言います。

 

このような認知の歪みは、成長過程の親やまわりの人間からの影響で起こることもありますし、ある日突然、何かをきっかけにして起こってくることもあります。

 

そのような認知の歪みを解消して物事を正しく、ありのままに認識できるようにするのが認知療法です。 

 

ただし、カウンセリングを行って認知の歪みを正せたと思っていても、いざ、その場面になると、やはりちゃんとした行動ができない、ということは多いものです。

そこで、実際の行動をしながら認知の歪みも解消していくという手法、認知行動療法が誕生したのです。

 

心理療法には行動療法というのももともとあって、これは行動を改善させることによって思考(認知)を正常化させるというものになります。

 

つまり、思考(認知)を正して行動を改善させる認知療法と行動をとおして思考(認知)を改善させる行動療法とは、手段と目的が正反対なのです。

その両者を統合して、無理なく段階的に症状を解消していけるように編み出されたのが認知行動療法になります。

 

ですから、認知行動療法は欠点のない心理療法の完成形とも考えられており、実際に高い効果が認められるため病院などの医療機関でも取り入れられています。

 

認知行動療法の実際の手順

認知行動療法の治療はつぎのように進みます。

  1. 認知の歪みを正し、改善した分だけ行動させてみる
  2. その行動をすることによって、認知が改善されたことがよりハッキリと自覚でき、さらなる認知の改善に意欲的になれる
  3. もし行動ができなければ、まだ認知の歪みが十分に改善されていないと判断でき、できないところからやり直しをしていく

このように少しずつ段階的に効果を確認しながら進めていくので、確実な効果が得られると近年医療の現場でも注目されています。 

 

ただ、より早く確実な結果を出すためには認知行動療法だけでは不十分であると、私は考えています。

 

何が不十分なのかと言うと、『認知の歪み』を起こさせた根本の問題を解消しないことです。

それは、家庭や学校、職場など周囲の環境にあるかもしれませんし、子供の頃に負ってしまった心の傷にあるかもしれません。

 

認知療法では認知の歪みを正すための技法はありますが、その根本原因にまで踏みこんだ診断法や解決法はありません。

そのため、解決までかなりの時間がかかってしまうことも少なくありません。

 

目標としては、週1回のペースで12回、約3ヶ月での回復を目指すような施療プログラムが多いですが、本当にそれほど順調に回復できるのは、症状がごく軽い人や、たまたま周囲に回復を妨げるような障害がないような場合だけです。

 

一般の認知行動療法では、短くて半年、ふつうで数年かかってしまうことも珍しくありません。

それでも、これまでの主流だった傾聴カウンセリングや投薬治療に比べるとそこそこの効果が得られる分だけ、はるかに優れているということで人気が高まっているのですが。

 

本当に治る認知行動療法を受けるには

私自身はもともとひとつの心理療法だけに頼るのでなく様々な技法を組み合わせて施療を行なっているので、認知行動療法が流行るまえから認知療法と行動療法とを組み合わせて行なうこともふつうにしていました。

 

ただ私の場合は、認知の歪みの原因を分析、診断して根本から解消するための総合的な心理療法を実践しているので、とくにそれを認知療法とは呼んでいませんでした。 

 

そして行動療法もそんな私独自の認知療法の効果を確認しながら、より確実なものにするために相談者とともに作業をしたり、外に出かけたりするリハビリのようなものとして用いています。

ですから、この行動療法は比較的軽い症状の方や認知療法で心の問題が解決に近づいてきた方などに行うようにしています。

 

ただ、この行動療法はけっして軽んじてよいものではありません。

 

大手術をした後には、リハビリで身体の機能を正常に戻さなければ後遺症が残ってしまいます。

心理カウンセリングも同じで、問題が深刻であればあるほど最後の仕上げとしての行動療法が重要になってきます。

 

1人で行動することや失敗することに対して、強い不安や恐怖を感じている人にとって、誰か頼りにできる人とともに行動できるのはとても心強いものです。

 

そして、

『外に出られた』

『電車に乗れた』

といったような成功体験を重ねることによって徐々に自信を取り戻し、健全な心へと回復していくのです。

 

このように【問題を解決するためのカウンセリング】には欠かすことのできない、とても大事な認知行動療法なのですが、これを正しく行うにはカウンセラーは1日1人か2人しか応対できません。

 

したがって経営的観点からすると、とても効率の悪い心理療法なのです。

 

最近脚光を浴びてきたために認知行動療法をとりいれる病院やカウンセリングセンターも増えてきつつありますが、大半はグループで1時間ほど一緒に作業するといったような行動療法でお茶をにごしているのが実際のところです。

 

それでも症状が軽い人は治っていくため、このようなお座なりな認知行動療法がどんどん広まっています。

 

もちろん、治る人が少しでも増えるのはとてもいいことなのですが、このような不完全な認知行動療法を受けつづけて逆に症状が悪化してしまっている人も増えているのは問題です。

 

症状がひどい方の認知行動療法はカウンセラーと相談者がマンツーマンで行わなければ、ちゃんとした効果は得られません。

 

生活に支障をきたすような症状にお悩みで認知行動療法の受診を考えておられる方は、マンツーマンで相談、施療にあたってくれるところを探しましょう。

 

認知行動治療のプログラム

認知行動療法では、まずあなたが不安や恐怖、違和感、嫌悪感などを感じていることがらに対して、その感情が本当に正しいのかどうかを段階的に分けて見つめなおしていきます。

 

例えば、学校に行くことに不安や抵抗、恐怖を感じるとしたら、まずその行動を細かく分割します。

 

学校に行くという行動の最初の一歩は、朝起きて制服に着替えることでしょう。

だとすれば、まず『制服を着る』という行為を考えてみます。

 

制服を着ることが自分にとって何か害があるだろうか?

他の服と制服と何かが違うだろうか?

 

といったように、カウンセラーと一緒にその行為について考えていきます。

 

その過程で、制服というのが嫌いな学校を連想させるとか、いじめられた思い出がよみがえるとか、いろいろ理由が思い浮かんできます。

 

しかし、そこでこう考えます。

『嫌いなのはあくまでも学校であって、制服自体は、単なる布切れでしかない、だから制服を着ることに対して、抵抗や拒否感をもつのはおかしいことだ』

『自分をいじめたのは〇〇というヤツであって、制服自体が自分を傷つけたわけじゃない。だから、制服を怖がるのは的外れだ』

 

このように考え、制服に対する偏見を取り除いていくことが認知療法であり、とくにこれを認知の歪みを正すといいます。

 

こうやって、制服を着るという行為に対する認知の歪みを正すと、頭の中では制服を着ることができるようになります。

つぎにそれを実際に行動に移してみて、ちゃんとできるかどうか確かめてみる、これが認知行動療法になります。

 

また行動療法の観点からは、制服を着るという行為に少しぐらい抵抗があっても、あえてそれを行うことで抵抗感が薄らいでいって、やがては慣れてしまう、という効果も期待できます。

 

そのように、認知療法と行動療法とを合わせたものが認知行動療法であり相乗的な効果が期待できるのです。

 

 

こうして最初の行動がクリアできれば、今度は朝食を食べるという行為について認知のゆがみを正し、行動してみる。

 

それがクリアできれば、今度は

  • 家を出る(ドアを開けて外にでる)
  • 学校に向かう
  • 校門をくぐってみる
  • 教室に入る
  • 友だちに挨拶する

といったように抵抗を感じてしまう行動についてひとつひとつ順番に、段階的に認知の歪みを正しては行動してみるということをくり返していくことで、最終的には学校へ行くという一連の行動が普通にできるようになるのです。

 

これが、認知行動治療の進め方なのです。

 

ですから、認知行動治療は1回だけで終了するものではなく、大体、週1回で3ヶ月、12回ぐらいを1クールとして行なっていくのが一般的です。

もちろん、個人個人症状がちがうので3~4回ほどで治ってしまう人もいれば、2クール、3クールと重ねて、半年、1年とかかってしまう人もいます。

 

また、週1回のペースで行う場合、次回までの宿題として、できるようになったところまでの行動を繰り返し練習して、慣れておかなければなりません。

1周間何もしなかったり、症状に任せたまま従来の異常行動に戻ってしまうと、せっかくの効果が帳消しになってしまうからです。

 

そうならないためには家族の方の協力が必要なのですが、心理療法を必要とする人の多くは、家族の言うことはなかなか素直に聞けないという人が多いものです。

しかも、そうかと言って1人では治そうと努力することができないのも、ほとんどの人に共通する特徴です。

 

ですから、認知行動治療の弱点としては、カウンセラーが症状の解消までピッタリと寄り添っていかなければならないところだと言えます。

そのため、場合によっては1周間、10日と連続で行なうこともあります。

 

最近では、毎日会うかわりにメールなどでコミュニケーションをとることもできるので、週1回だけでも良い結果が出やすくなっています。

 

このように、着実に効果を体感しながら症状を改善させていく認知行動治療は安心、安全かつ効果の高い心理療法のひとつだと言えるでしょう。

 

認知行動治療のメニュー

こころの臨床カウンセリングでは、この認知行動療法の効果をさらに上げるために認知の歪みがなぜ起こったのか、というところまで掘り下げたカウンセリングを行なっています。

 

つまり、精神分析や催眠療法など他の心理療法も加えて行なっているということです。

 

理由もわからず認識だけを変えようとするよりも、ちゃんと自分の問題の根本原因がわかった上でそれを改めようとするほうが、格段に効果は上がります。

 

そのようなわけで、当院の認知行動治療のメニューは次のようになります。

  1. 心理テストや精神分析による診断
  2. 認知の歪みの根本原因からの修正
  3. 行動療法

※場合によっては、催眠療法やその他の療法も行います。

 

基本的に週1回、3ヶ月、合計12回を1クールとして行います。

また、場合によっては毎日連続で行なうこともあります。


認知行動療法の料金

大阪オフィスにご来所の場合は1時間単位の予約制となっております。

初回は約120分 12,000円(税込)

2回め以降 90分 10,000円(税込)

 

ご自宅への出張の場合は、半日単位での予約制となっております。

半日(3時間前後) 18,000円(税込)+出張費